私は数年前まで気に入った服があればついつい買ってしまう事が多かったが、最近は服を買うことはあまり好きではないし、あまり欲しいと思わない。
以前は本当によく買っていたため、それらの遺産が結構あるが、もともと流行を追う事はしないので、今でも着られる服がほとんどだ。
そして、ちょっと気に入らない長さや幅の服は修正をします。ミシンを買って本当に良かったのは、修正・補修を自分で出来る事です。
昔に比べて今の服はほとんどがスリム化とショート化したものが多いので、簡単に細く、短くすればいいだけだ。そして昨今のスリム化ショート化はコスト削減の影響なのかと思うことがある。
自分で型をとって作ってみると、スリム化して、ショート化するとかなり生地の節約になる。80年代みたいにダボダボの長い服なんか作ろうと思ったらかなり多くの生地がいる。大量生産になれば、なおさら嵩むので、ちょっとでも小さくすればそれだけ少ない生地で服を作れることになる。
小さくなるのと並行した軽量化も顕著な傾向だ。
コートなんかもダウンジャケットなどが主流になり軽くなった。その他の服も軽量化している。
昔のコートを着ると本当に大きく、重い。当時はそれを何の違和感もなく着ていたのに。
以前から服ってサイズが大きくても小さくても値段が同じだから、大き目のLからLLの人は得しているのかなと思っていたが、型を見てみると、長さは思っていたほど変わらない。S→M→Lと上がっていっても各部分で1~2cmくらい増えていくだけだ。
サイズが違ってもコスト的には殆ど変らないので、デザインでスリム化ショート化した方が、効率がいいのでしょう。
また衣料品のコストは多くが手間と人件費なのだと気づきました。
服って自分で作ってみたら、1着作るのに本当に手間がかかることがわかります。
ただし、これを分業化して延々と同じ工程をそれぞれがやっていくとかなり早くできると思います。
自分ひとりで型どりから裁断、芯貼り、アイロン、しつけ、かがり縫い、本縫い、ボタンホールなどすべてやるから、違う工程に行くため準備が必要で、かなり時間がかかります。針を変えたり糸を代えたり、糸調子を見たりするのもこだわったらキリがありません。
これを同じ機械を使ってずっとやり、自分の工程が終わると、次の工程は人がやってくれると、効率的に一着仕上げることができます。
すべての製品は流れ作業や、分業化しないと大量生産できないんですよね。
家内制手工業から、産業革命を経て、分業化、オートメーション化、生産地(国)変更によるコストダウンへと変化して、今のように安く良い製品が手に入るのだと感じます。
ただし、なんでもお金を出して買ってしまうと、手をかけることをせず、構造や仕組みも理解しないままになってしまうので、なんでもいいから手間をかけて行う事は大事だと思います。
料理なんかもそうですね。外食や買ってきたものばかりではなく、自分で小麦粉をこねて、麺やピザ、パンなどを作ってみると、本当にものを作る大変さを理解できます。そして、時にはこんなに簡単に自分でも作れるのかと嬉しい驚きを覚える事もあります。
実際に自分の手を動かしてモノを作ってみると、効率化され、工業化されたものを享受できる今に感謝することにもなります。
また、同じ作業をしても国によって賃金が違うって、本当はおかしい事なのではないかと考えたりします。