唐突だが、私はエッフェル塔が好きである。また、それを模して作ったと言われる東京タワーも甲乙つけがたいくらいの存在だ。東京タワーは赤いと言う点でエッフェル塔にも負けていないと思っている。
石造りの建物と歴史が作り出す、くすんだパリの風景にはエッフェル塔の色がよく似合う。一方、東京は新しいものがどんどん建てられて、蛍光色が目立つ明るい街。煌びやかな光の洪水の中では、赤色がいい。日の丸、サンライズの国には赤しかない。
東京タワーは好きなので何度か行っているが、電球付のプラモデルを買って作ってみたり、小さなプラスチックの置物も買い、東京タワー型のペットボトルの水も手に入れ、東京タワーのガムテープまで買う始末。
エッフェル塔はパリに行った時、何度か下までは行ったのだが、まだ上った事がない。ただし、エッフェル塔が好きだと言ったら、人からこんな小さな置物をもらった。
電車の中で売りに来るピンバッチも、普通の人は買わないものだが思わず買った。そして最近、近所の100円ショップでエッフェル塔型のピンを見つけた。
パリにあるデパートの香水屋で、エッフェル塔型の瓶に入った香水をお土産に買った事があったが、その瓶ともあまり変わらないものが、100円で売っている。
これもしかしたら、あれに使えるのではと、本来の製造意図とは別の目的でそのエッフェル塔の瓶を購入。
その目的とは工業用糸駒の糸立てなのでした。
ソーイングをしていると、糸代も馬鹿にならないくらいになってきます。小物やバッグ作り、補修をしているくらいならまだしも、パンツやシャツなど服をつくるようになると、けっこう糸も必要になってきます。失敗なんかすると尚更、糸がどんどんなくなります。
もうちょっとで終わりなのに、”あー、もう糸が殆ど残っていない。” この色の糸もう持ってなかったよなーなんてなると、作業が先送りになったりします。
自分の場合、最も良く使うのが生成り。白はあんまり好きではないので、薄い色の場合は殆どが生成りの糸で済ませます。
大手手芸店で3000m巻の60号スパン糸が400円くらいで売っているのをたまたま発見。これかなり安いなーと思い迷わず購入。
職業用ミシンであれば、糸立てに工業用糸を想定した糸駒ホルダーと糸案内があるので問題なく使えるが、家庭用ミシンで使いたい場合、ミシンの後ろに置く糸立てが必要になります。
市販で1000円~2000円くらいで売っています。
こんな感じ
見てみるとそんな複雑なつくりでないし、なんか代わりになるものがないかと考えてしまいました。
糸駒をたてられて上方に糸を通す所があればいい感じなので、糸立てにエッフェル塔瓶が使えるのではと思ったのです。
早速買ってきたエッフェル瓶に、糸駒をさしてみるとピッタリして安定している。
ただし、ミシンの背面にクリップをつけてその穴を通したものの、うまく糸が抜けていかない。
家庭用ミシンの上面あたりでは、まだ高さが足りないのか、糸駒から斜めに糸を抜く形になり、引っかかったり、糸立てのエッフェルさんが倒れそうになったり、ちゃんと糸が抜けていかないようでした。
工業用糸駒は、真上に近い高い場所を通して引っ張る形でないと、糸が抜けていかないのです。
だから、職業用やロックミシンは上に糸案内棒を伸ばし、そこを通して糸が抜けるようになっています。
ちなみに職業用ミシン・シュプールは、糸駒一番上から糸案内の穴までの高さは18cmです。糸駒をたてて、上部からこれくらい空間があれば、糸が抜けていくということです。
高い位置に糸案内の穴を設けるにはどうしたものかと、思案を巡らせる。
そこでエッフェル塔の瓶には穴が開いているので、長い菜箸を入れる事を思いつく。
エッフェル塔の中心に箸を入れ、クリップで上に糸案内の穴を作り、糸駒を注してやってみたのですが、ツルを巻く植物みたいに、箸の周りを糸がぐるぐる回ってのぼっていくため、これではダメだとわかる。
そこで東京タワーの登場である。
東京タワーに糸駒を立てて、その横にエッフェル塔瓶と箸で作った糸案内棒。こうすると、なんと、スルスルと問題なく糸が抜けていく。
これで家庭用ミシンでも問題なく、工業用の糸を使えるようになりました。
その後、色々と試してみると、エッフェル瓶に糸駒をさすだけでも、
真上に近い場所に糸案内の穴があれば、箸を立てなくても間に合う事を発見。クリップなどを使ってやった例をいくつか見せるとこんな感じ。
リッカーRCM-1230 持ち手レバーの後ろに糸案内の穴があります。ここを通します。通常の糸立ての下に糸駒を設置、糸立てにはわせるようにして穴に通す。
リッカーベルニナ160 適切な場所に通すべき穴がないので、横になったスプールピンにクリップをとめて、その下に糸駒を置く。
エレクトロラックス990 よくある背面垂直糸立ての場合。
ハスクバーナエメラルド183 上糸が蓋の中にあるものは、蓋をあけて蓋の端にクリップをする。
これらのやり方では、それ程高くない場所でも問題なく抜けていきました。糸案内の穴は、高さより真上に近い位置にある事が大事なようです。
頻繁に工業用糸を使うようになったら、市販の糸立てを買うかもしれませんが、当面はエッフェル塔の即席糸立てで、代用しようと思っています。
工夫をすれば今あるもので何とかなるものです。