2014/04/28

ブランディングの話

前回ジャノメのミシンのデザインの話をしたが、今日はもっと大きくそのポリシーとブランディングの話をしたいと思う。

ブランディングには大きく分けて商品ブランディングと企業ブランディングの2つがある。
まずは商品ブランディングの事を言うと、ジャノメは何でここにこの色わざわざ入れるの? 何故あえてごちゃごちゃさせるの?と思ってしまうデザインが多い。例えば職業用の780DX/780DBなんかは不要なカーブをつけ、無理やり柄を入れている。黒ミシン時代のクラシック感をちょっとだけ出したかったんですかね。であれば何とも中途半端。
そして、このミシンも次のモデルで脈略もなくカラー変更。直営店、販売店でモデル名だけ変えて同じミシンを販売していることにも起因するのでしょうが、ブランディングという観点から容易にカラーを変えるのは一番やってはいけないこと。

人のイメージは色と密接に結びついていて、これと言えばこの色と思われなければ意味がない。
ポストと言えば日本人やイギリス人は赤、フランス人は黄色、青いコカコーラなんて飲みたくないし、ポカリスウェットは食品に青を持ち込んだから当時非常に画期的と言われ、爽快なイメージを表すのに役に立ったのだ。
どうですか?黒いポストがあったらそれが郵便ポストだとおもいますか?紫の非常階段のサインがあったら違和感ありませんか? そういうことです。容易に変えてはいけないのです。

前回書いた通り、シュプールと言えば白、長年変わっていません。そこに小さくJUKIの青が見えるからいいのです。
ジャノメの職業用は厚物にも強くパワーがあり、他の職業用より後発で出たので、性能的には申し分ないものらしい。その点はいいのだが、デザインの観点で失敗している。コスチューラと言われた767なんかは頑丈で耐久性のある職業用なのに何故かコンパクトミシンが使いそうな色を採用していて、おもちゃのように見える。
批判ばかりしても何なので、直営店モデルHS-70 とHS-80はグレーに品があり、赤との調和がいい。
赤はライトグレーと色合わせがいいからかつてJALのロゴもこの2色だった。

ピンクとライトグレーでもいいです。
この色合わせはファッションでも応用可です。
ジル・サンダーのラフ・シモンズがデザインしたラストシーズンのコレクションでもピンクとライトグレーの見事な調和がみられました。

ベルニナ1050もピンク・グレーの色合わせです。
 
ベルニナ1050
そのHS70と80の良いカラーリングも後継の85ではなぜか全然色相が違うモスグリーンに変更になっています。こんな変更は通常ありません。ジャノメは昔からモデルチェンジしたらカラーも変えないと、と思っているのかモデルごとにカラーを変えます。モデルチェンジしたら色を変えないといけないという事はないのです。大きく変更がない機能なのだから、それを誤魔化すためにカラーを変えているみたいです。カラーを変えないで機能の刷新だけアピールすればいいのです。大した機能変更がないのならいつまでも同じものを売ればいいのです。必要なものであれば商品は自ずとロングセラーになります。
先にも述べたとおり、自信のない人は一貫性やポリシーがなく、一本筋が通っていないのでコロコロ変えるのである。そういう仕事の仕方をする人、周りにもいますよね。JUKIのシュプールは、デザインはこれでいいという姿勢が見えます。一貫性のなさもJANOMEのデザインの大きな問題だと思っています。

次に企業ブランディングの話ですが、
ジャノメの企業ロゴは数年前赤に変更になりましたが、このロゴ、スイスのかのメーカーと似ていると思うのは私だけでしょうか?色が同じ赤で、文字フォントもあまり違いがないです。


フォントは大きくセリフ付の明朝系とセリフなしのゴシック系に分けられますが、それぞれ真面目な印象と軽やかな印象を与えるようになっています。この辺のやや専門的な事はこのミシンブログに適さないので、軽くで留めておきますが、そういうものなのです。
ちなみにセリフとは文字の端にある”はらい”のようなもののことですが、ジャノメは以前、セリフ付だったのが、急に赤いセリフなしのゴシック系。なぜ簡単に変えるのでしょう。パインさん。
ジャノメの以前のロゴ

ブランディングという点では、JUKI,ブラザーのほうが、一貫性があると思います。
ジャノメとしてはイメージを変えたかったのかもしれませんが、変えるにしても競合他社が使っている色は使ってはいけません。日本のメガバンクも色が被っていませんよね。同じだったら銀行探しているとき遠くから見て識別がつかないです。

最後に、これはジャノメを批判するのではなく、もったいない、作っているものがいいし、サポートもいいからこそ、あえて書いているのだということをご理解ください。

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