2014/05/01

改革、未来のミシン業界のために

何かと問題のある業界構造については前回述べました。そして、私が考えるミシン業界に必要な改革は以下2点です。

販売チャネルの見直しとオープンネス
イマイチわからないので、あまり関わりたくない、何かしらミシンを既に買った既存顧客層でもそう感じています。そのためには抜本的な販売方法や販売場所の変更をして、イメージを変えないといけません。そして、販売店もメーカーからの規制が多いので扱いにくい製品になっています。本当の意味で販売店とメーカーのつながりと信頼感がない気がします。それは消費者にも伝わります。この類の商品で、ネットで価格を表示してはいけない、価格の問い合わせが必要なんてもの他にはそうありません。でもちょっと調べればすぐわかります。
この時代隠してもすぐばれます。スノーデンみたいな人が国家機密も暴いていく時代です。国家に比べればミシン業界なんてほんとに小さいのです。無駄な秘密です。言論を取り締まって成功した時代ではもうないのです。
その製品の善し悪しは別にして、オープンネスや信頼感という点で成功したのが山崎範男ミシンだと私は思っています。

新規顧客層の開拓
入園準備に必要な主婦や、趣味で楽しむお金のある年配女性以外の新規顧客層の開拓。
独身女性や男の顧客を獲得すること。
昨今、晩婚化が進んでいますし子供がいない女性も昔に比べて多いです。男も独身の人が増えています。そういう人はちょっとした服の繕いやサイズ直しをしたいとき、同居もしていないので母親や恋人、配偶者にしてもらえません。そんな時ミシンがあれば便利なのは私が実感していることです。
なお、昔に比べて安価でいい衣料品が手に入るようになっているので、服を作るという用途で需要を大きく伸ばすのは難しいです。だからリメイクか補修に狙いを定める方が賢明です。今や一般の人が生地を買うと服を買うより高い事もあります。服は買った方が安い、この認識を変える事は今や難しいでしょう。

機械なので男の方が慣れたら使うのはうまいと思います。車の運転と一緒です。
アクセル踏んで手で操作するというのは同じです。
そして、これはどの業界にも言えますが、男の顧客は女性のように一度決めた店を変えません。女性は美容室でもころころ変えますが、男は同じところで長年切ってもらいます。服のブランドも女性はあらゆる店に行って買いますが、男は学生時代から変わらず同じ店で買っている人もよくいます。一度つかんでしまえば継続的な売り上げが見込めるのです。
メーカーは一時的な売り上げだけでなく、長期的な顧客の維持にも目を向けるべきなのです。

カメラなんてのもその最たる例で、一眼レフカメラは豊富なレンズを用意して買い足したい衝動に顧客を誘導します。そして同じメーカーのものでないとレンズは合わないので、買ったレンズを使い続けたいなら次に買うときも同じメーカーのカメラを買う事になります。
ミシンも容易に規格を変えてはいけないのです。フットコンや押えも便利なものを用意し同じメーカーのものであれば使い続けられるようにしておかないといけません。押えについては比較的規格が変わっていませんが、フットコンは結構変更されています。変更した場合はアダプターなどを作って今まで使っていたものも使えるようにしてほしいものです。

また、男の使用者が増えることはこの業界の一番の問題をも解決します。
それは製造者がほぼその製品を使わないということです。
製造者や設計者が手芸・キルト、ミシンを取り巻く環境に疎いのです。使うのは女性、しかし業界を仕切るのは男。作ったり修理するのはいいが、実際に使わない。機械的な部分と使用者の感覚が切り離されています。普段使わないから本当に何が必要でどんなものがいいのか、メーカーがあまり理解していないのです。それも男が普通にこれを使う事になれば、解決されていくと思います。

ほとんどの消費者は業界の販売方法に信頼を置いていない。そしてそこまでその商品をあえて欲しいと思わないし、関わりたいと思わない。生きていく上でミシンの占める部分はごく一部。他の業界や製品の事も視野に入れるべきで、業界内で横の事だけ気にして、製造・営業していても頭打ちである。
消費者にとって本当に必要な機能面での発展性はかなり低い。すでに何十年も前に実用部分の革新・発展は終わっている。であれば、もっと消費者の信頼を得るしかない。ただし、信頼という部分ではもう何十年と改善されていない。変わらなければあまり未来は明るくないのではと思います。

海外でもメーカーとしての役目を終え、ブランド名しか残っていないミシンメーカーがたくさんあります。残念なことです。日本のミシンメーカーがこのようにならないことを祈ります。

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